2012年5月21日

NRW州議会選挙でのCDUの大敗と環境相の更迭

Quelle: Reuters : Röttgen, Merkel: Eine Nacht Bedenkzeit
Quelle: BILD

5月13日、先週末にNRW州議会選挙が行われ、CDUが歴史的大敗を喫した。選挙前には35%得票があったのが、今回の選挙で26%まで落ちてしまった。今回の選挙では現職の環境相であるRöttgen氏がNRW州に戻り選挙を戦ったということで大きな関心事となった。そしてこの選挙に大敗したことで、まず自身でNRW州のCDU代表のポストを辞職し、さらに選挙後の水曜日、3日後には環境相のポストをメルケル首相から解任されてしまった。

Röttgen氏は選挙後はベルリンに帰って環境相として職務を全したいという意向を表明していたが、3日のうちに、CDU首脳陣の中でNRWで敗退したRöttgen氏では今後のエネルギー政策をリードすることはできないと判断された結果としている。なんともすごい人間劇となってしまった。

Röttgen氏が更迭される前にはバイエルン州首相であるSeehofer氏がRöttgen氏を強くTVで批判した。Seehofer氏はCSUの党首であり連邦レベルでも大きな政治力をもっている。

Röttgen氏は今回の選挙戦で多くの失敗をしたというのが世論である。NRW州の選挙を現政権が進める緊縮財政、エネルギー政策などと重ねて議論し、NRW選挙はこれらの政策の国民からの支持を得る機会であると政策への支持を訴えた。

一方、対戦するSPDは教育、雇用、幼児施設などの改善を求め、Röttgen は財政赤字を増加させる政策として強く反論したが、NRW州の住民は政府の政策よりも、自身の州で行われる現実的な問題への改善を求めている。

翻ってフランスの大統領選挙をみると、緊縮財政を強調したサルコジ氏が敗退したことをみると、選挙で欧州レベルでの緊縮財政の議論をすることは選挙では勝てないということなのだろう。

ドイツの国民感情としては、ギリシャなど財政破綻している国になぜドイツが一番大きな援助を行わなければいけないのか。自身の国の生活を良くしてくれと思っているのが本音である。

今回の選挙はメルケル氏にとっては大きな痛手である。今回の記事はドイツの連邦制の話ではないので深くは触れないが、州政府の選挙といっても連邦政府の政策実施に大きく影響してくるのである。例えば、連邦参議院は州政府の議員数に比例して構成され18millionの人口があるNRWは参議院議席数も多く、CDUが新たな法案を通すことがこれで将来難しくなることが予想される。

連邦政府の選挙は2013年の秋に予定されている。まだ1年以上あるが、メルケル氏は3期目の再選を狙っているが、今回の選挙で次回政権がSPD, Greenの緑と赤の連立政権に戻る可能性がでてきた。

さて、Röttgen氏はまだ46歳という若さである。環境相を更迭され、NRWのCDU党首も辞職してしまったので、今後の政府でのキャリアは望めないというのが専門家の分析するところである。まだ引退するにはあまりに若い。

政治に関してはあまり詳しくない筆者にとって興味があるのはRöttgen氏がなぜ国政レベルで環境相のポジションをリスクにかけてまでNRW州首相になろうとしたのか、ということである。Röttgen氏はメルケル首相の後継者となるかもしれないとの評判まであった。連邦で首相の座を狙っているRöttgen氏にとって、ドイツ連邦制での州首相のポジションの魅力は大きく、政治家にとって州首相で実績を残すと、連邦首相に選任される可能性が高くなるということから今回の決断をしたのだろうと考えられる。日本では知事が首相になるという話は聞かないが、これもドイツ連邦制の一端を伺える出来事なのである。

21/05/2012に樫森誠一郎が次のカテゴリーに投稿しました