2012年3月18日

Air Berlin 2011年度 増収減益

Air Berlin の2011年度の業績が発表になった。売上高は2010年度に比べ13.7%増加し、4.3Billion Euro, 利益は昨年に比べ赤字幅が倍になり、256Million Euroの赤字となっている(2010年度は97Million Euroの赤字)。
Air Berlinは格安航空会社 (Low cost carrier, LCC)と呼ばれ、低価格かつ簡素化されたサービスを提供する航空会社形態の会社として評判がある。
そのAir Berlinが過去数年間ずっと赤字続きである。Air Berlin の現状を語る前にその歴史をざっと追ってみよう。

Air Berlin はあまり知られていないが、1978年にアメリカでチャーター便専門会社として設立された。その後80年代は、西ベルリンとMallorcaを結び90年代初頭には2機のボーイングジェットと所有する小さい航空会社であった。その後東西ドイツが統一され、Air Berlinも会社形態を変化させ、格安航空会社としての道を歩み始める。現在は、150機以上の飛行機を所有し、8000人以上の従業員がいるルフトハンザにつぐドイツ第2の航空会社に成長した。

Source: OAG Max Online for w/c 4 May 2011

次にドイツ国内の主要なルートのLufthansa, Air Berlinの飛行頻度をみてみよう。
青がLufthansa の航空頻度で、赤がAir Berlinである。何とAir Berlinはほとんどのドイツ国内主要ルートでLufthansaとガチンコでぶつかっているのである。

簡単にいうとAir BerlinはすでにLCCの域を超えてルフトハンザと並ぶドイツの有力航空会社へとこの20年間で成長してきたのである。

2011年のドイツ国内のマーケットの運行航空座席数を比較してみると、Lufthansaとその子会社Germanwings で66%、Air berlinが32%で三社あわせて98%のシェアをもっている。Lufthansaは依然として倍以上の座席数をドイツ国内で提供しているが、2社の寡占状態であることに間違いはない。

Quelle: Source OAG Max Online for w/c May 2011

では国際線はどうなっているのであろうか? 各都市からの運行本数をみるとその姿がわかってくる。運行ルートの多い都市をみると、LufthansaはFrankfurt, Munich, D・seldorf, Hamburg, Berlin Tegel, Stuttgart の6都市にに集中していることがわかる。一方、Air BerlinはBerlin Tegel, D・seldorf, Munichを中心にかつ地方飛行場から国際線を多く飛ばしている。
地方飛行場は飛行場施設使用量が通常は安く設定されており、LCCの多くの地方都市空港を使う。
2社は次々と中小規模のローカル航空会社を買収し、近距離国際線ルートを寡占化し収益率を高めるという戦略をとっている。たとえば、ルフトハンザであれば、Austrian Air, Swiss Air, Air dolomiti, eurowings, eurowings, の子会社であったGermanwings などを次々と買収し、国際線、得にDACH地域での寡占化を進めたのである。

さて本題のAir Berlinの収益性の話にもどると、なぜLufthansaが黒字をここ数年キープしているのに対して収益性が低く、2007年以降赤字続きになっているのか?この理由が上記の拡大に密接に関連していると考えられている。

LCCは同種類の機体を使い整備コストを低減、低コストの地方飛行場を利用し飛行場利用料を削減、ルート数を絞って提供、という3つの特徴があるが、拡大戦略をとっていくなかで、この原則がAir Berlinでは崩れてしまったと考えられる。
Air berlinはLufthansa に対抗するために飛行本数を増やし、また収益性の高い国際線を増加させるために多くの地方都市からのルートを増やし、不採算ルートを多く抱え込んだのである。

大手航空会社はほぼすべてがハブ&スポークというやりかたをとっている。まず Frankfurt, Munichのような大きなハブとなる飛行場を抑え、そこにタイヤのスポークのようにいくつものルートをつなぎ、乗客がスポークスの先にある地方都市からハブに集まり、国際線にのりつぐという方法である。

Air Berlinは上記のチャートからわかるように、ハブ&スポークになっていないのである。いくつもの地方都市から国際線はでているが、そこがハブになっていないので、国際線の空席がどうしても多くなってしまうと考えられる。
また、LufthansaのようにStar Allianceに所属していないので、他飛行機会社から乗り継ぎ顧客をのせることもできない。
LCCの枠を超え、ドイツ主要航空会社となるぐらい図体はでかくなったが、高収益体質にはまったくなっていないというのが現状なのだ。
また今年に入り銀行からの借入金が870億円に達し、利子払いだけでも年間で50億以上払わなくてはならないというのが重荷にもなっている。

昨年Deutsch Bahnの元社長がAir Berlinのトップとして就任し、現在コストカットを大きく進め、不採算ルートも整理しているということである。
ちなみに、筆者が利用しているDüseldorf – Innsbruckも今では木曜日と日曜日しか飛ばなくなってしまった。

今後、Air BerlinとLufthansaのコンペティションがどのように続いていくのか、またAir Berlinの業績が回復するのかぜひWatchしていきたい。 

18/03/2012に樫森誠一郎が次のカテゴリーに投稿しました